今月読んだ本 [本]
ずっとお城で暮らしてる
シャーリイ・ジャクスン 著
家族が死んでしまったお城のように大きな家に住んでいる姉妹の話。
6年前、父・母・息子・義理のおばが同じ食卓を囲んでいて、
毒物により死亡した。
同席していなかった妹と、食事を作った姉が、
同席していたが、助かったおじ(但し障害が残った)の世話をしながら、暮らしている。
姉は、6年前の事件がきっかけで、他人と係れなくなり、外で出ないようになった。
妹が、代わりに村へ買い物に行ったり、図書館へ行ったりしている。
が、村の人々から良く思われていないので、村へ行くのは苦行である。
そんな風に暮らしていた姉妹のところへ、
いとこが押しかけてくる。
姉はこのいとこに感化され、変わらなくちゃと思いはじめるが、
妹は、いとこの存在が疎ましい。
あの手、この手で、追い出そうと試みる。
読み終わった後に、奇妙な感覚が残る。
ある時期に少女が持つ残酷性をうまく書き出していると言う感じなのだろう。
瑠璃の契り-旗師・冬狐堂
北森 鴻 著
倣雛心中(ならいびなしんじゅう)
苦い狐
瑠璃の契り
黒髪のクピド
の4編からなる冬狐堂こと宇佐美陶子の短編集。
4編に共通する事は、どの作品にも作者の想いが強く秘められていて、
陶子が自分の身を削りながら核心に近づいていくという事。
倣雛心中
和人形を得意としない陶子のところに、
同業者が売った後なぜか返品されてくるという訳ありの和人形を持ち込む。
人形の事を調べていくうちに、陶子は人形に秘められた作者の意図を見つけ出す。
そして、その人形は高値をつけることとなる。
苦い狐
美大時代の同級生の画集の復刻版が陶子の元に送られてきた。
今頃、誰が、なぜ復刻版を作って送ってきたのか?
陶子は、いろいろ調べ、画集の中の一枚の絵だけが複製ではないかと思い始める。
そこには、復刻版を作った人間の独占欲と愛情が隠されていた。
瑠璃の契り
陶子は角打ち屋で姿の良い切り子碗を手に入れた。
カメラマンの硝子が、その切り子碗をしばらく預かった後、売ってほしいと頼んできた。
その後、商売に行った先で陶子は同じ切り子碗を見つけ、
作者の名前と三つ揃いであることを知った。
そして、切り子碗に込められたメッセージに気が付く。
黒髪のクピド
「プロフェッサーDを探して欲しい」と女性が陶子の元を訪れた。
1ヶ月前、陶子はプロフェッサーDの依頼で人形を競り落とした。
その人形に何かあると考えた陶子は、博多に行き、
プロフェッサーDの軌跡を辿る。
が、そこにはプロフェッサーDとは関係ない思惑があり、
陶子は、人形に隠された秘密を知る事になる。
2008-02-29 13:19
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