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今月読んだ本 [本]

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ハナシにならん!-笑酔亭梅寿謎解噺2
田中啓文 著

笑酔亭梅寿に弟子入りさせられた金髪トサカ頭の竜二と
師匠 笑酔亭梅寿とその一門が繰り広げる笑いあり、涙ありのお話第2弾。

今回、竜二は東京でテレビに出たり、ラジオのコーナーを任せられたりと、
かなり活躍のご様子。
でも、そんなにうまくいくわけがない。
そして、師匠の懐の深さを知ったりするのである。

落語がブームらしい。
このシリーズも第3弾が出ているし、ドラマ化してもよさそうな気がする。
今回解説を書いた落語家さんも「通行人でいいから出たい」そうだ。


プリズン・ストーリーズ (新潮文庫 ア 5-27)

プリズン・ストーリーズ
ジェフリー・アーサー 著

刑務所で聞いた話をまとめた短編集。
冬を刑務所で過ごすために毎年10月になると犯罪を起こす男や
儲けを巧みに隠していたイタリアンレストランのオーナー、
妻を殺すために完全犯罪を実行する男などが
表情豊かに描かれている。

でも、短編はなんとなく物足りない。
この人は、長編がおもしろいと思う。

今月読んだ本 [本]


ドラゴンがいっぱい!―アゴールニン家の遺産相続奮闘記 (ハヤカワ文庫 FT ウ 4-1)

ドラゴンがいっぱい! -アゴールニン家の遺産相続奮闘記-
ジョー・ウォルトン 著

「アゴールニンズ」を改題して文庫化されたのが本書。

ティアマト国でアゴールニン啖爵が臨終の瞬間を迎えていた。
遺言により遺産の分配が決められていたが、
長女の夫デウラク士爵が取り決め以上に遺骸を食べてしまった。
ドラゴンの世界では、同属を食べて大きく成長するのだ。
その事に腹を立てた次男のエイヴァンは裁判を起こすことにした。

そこに次女、三女の恋愛話がからみ、裁判は一体どうなるのか、
それぞれの恋愛はどうなるのかと思わせながら、話は進んでいく。

大団円は、見事にうまく収まっていて良かったねって感じ。


孔雀狂想曲 (集英社文庫)

孔雀狂想曲
北森 鴻 著

宇佐見陶子シリーズでおなじみの北森鴻です。

これは、陶子シリーズにも度々登場する
「雅蘭堂」の主 越名集治が主人公の短編集。

「雅蘭堂」は土地柄なのか、あまりお客の来ない骨董屋である。
また、骨董屋という割りに、ジッポのライターやアンディウォーホールのオリジナルポスター、
ジャンクカメラなどを売っていたりする。

そんな「雅蘭堂」に集まった物たちが犯罪を呼びこんだり、
理屈の通じない兄によって詐欺に巻き込まれそうになったりして
「雅蘭堂」の主 越名集治は、謎を解明する役割をこなす事となるのである。

宇佐見陶子シリーズより、軽く温かみがある感じがするのは、
越名集治という主人公の設定の為か、
短篇であるという利点なのか、
とにかく楽しく読むことが出来る。


危ない夏のコーヒー・カクテル [コクと深みの名推理] (ランダムハウス講談社 コ 2-4 コクと深みの名推理 4)

危ない夏のコーヒー・カクテル コクと深みの名推理 4
クレオ・コイル 著

クレア・コージーの4作目
今回、クレアは高級リゾートで出張バリスタを勤めている。
その出張バリスタを勤めるレストランのオーナー宅では、
カクテルパーティーが開かれていた。
そこのバスルームで、同じくスタッフとして働いていた男性が殺された。
クレアは、その男性はオーナーと間違われて殺されたのではないと考え、
独自に調査を始める。
オーナーも警察も間違われた殺人だと言うことを認めずにいたが、
別のパーティーで、アレルギー物質を接種させられ、中毒症状に襲われていたところを、
クレアに病院に運ばれ命を取り留める。

オーナーが狙われていると確信したクレアは、探偵顔負けの調査を始める。

今回は、高級リゾート地が舞台であるので、ひと夏の恋も盛り込まれてる。
もちろん、フラッペやケーキなど夏向きのレシピも載っている。

今月読んだ本 [本]

とっても不幸な幸運 (双葉文庫 は 18-1) (双葉文庫 は 18-1)

とっても不幸な幸運
畠中恵 著

新宿にある「酒場」という酒場が舞台の現代物。
「酒場」は、アンティークな家具と高級で美味しいお酒がおいてあるシックなお店なのだが、
そこに集う人々は、一癖も二癖もありそうな人々ばかり。
マスターは、その最たるものである。(本人は認めていないが)

そんな「酒場」に百均で売られている奇妙な缶を持ちこまれる。
最初に持ち込んだのは、マスターの義理の娘。
缶を開けた時、亡くなった母親の姿を見たとマスターに告げるが取り合ってもらえず、
マスターと吉を聞いていなかったが、学校で同級生が困っている話を聞いて、
同級生のトラブルを解決してもらおうと缶の中に干からびたきのこを入れてきた。

その缶を開くと何かしら厄介なことが起こるが、なんとなく解決してもらえるということで、
常連が次々と缶を持ち込む。

畠中恵=「しゃばけ」などの時代物といったイメージが強いが、
現代物の面白いと思う、「百万の手」も良かったし。


アンティーク鑑定士は見やぶる (ランダムハウス講談社文庫)

アンティーク鑑定士は見やぶる
エミール・ジェンキンス 著

スターリング・グラスは、リーモントを拠点にしているアンティーク鑑定士。
ある日、老婦人が急死し、遺産の鑑定をしていたスターリンは、
とても高価なサモワール(コーヒーポット)があることに気がつく。
また、ニューヨークに住む老人から、人形の鋳型を鑑定して欲しいと
依頼があった。
人形に関しては、得意分野ではないスターリングだが、
イロイロ調べていくうちに人形のほうが高値であることを知る。
サモワールと人形、何も共通点がないように思われるが、
そこには、大掛かりな犯罪が関係していた。

著者自身は現役のアンティーク鑑定士なんだそうだ。
主人公が新聞のコラムで読者の質問に答えていた品物が、
次の章に登場するため、読んでいて?を浮かべることなく物語に入っていける。
この辺は、現役鑑定士ならではなのではないだろうか。



今月読んだ本 [本]


対決の刻 上 (1) (講談社文庫 く 52-5)対決の刻 下 (3) (講談社文庫 く 52-6)

対決の刻(上下)
ジェフリー・ディーバー 著

おばのトレーラーハウスに身をよせる前科あり、職なしの美女ミッキーは、
隣のトレーラーハウスに住む
自称ミュータントの左手、左足に障害をもつレニエラに出会う。
始めは、レニエラの言う事が信じられなかったミッキーだったが、
次第にレニエラの身の上が心配になり、行動を始める。
敵に追われる謎の少年カーティスは、オールド・イェラーと名づけた犬と共に
逃亡を続けていた。
やがて、カーティスはエイリアンの存在を信じる美人姉妹と出会い、旅をする事となる。

下巻はラストに向けてスピード感のある展開が続くが、
上巻はどうにも話の展開がゆるく、もう少しコンパクトにまとめても良かったのではないかと
思うのだが・・・。



死神の精度 (文春文庫 (い70-1))

死神の精度
伊坂幸太郎 著

死ぬ予定の人間を7日間調査し、
「可」であるか「見送り」であるかを判断する死神が主人公の短編集。

最後まで読んで、「やられた」と思ってしまった。
伊坂作品は、登場人物がリンクする事が多いのだが、
ここでかぁ~と感動してしまった。

仕事にくると、いつも雨が降り、晴天を見たことが無い。
人間界にいて時間が出来ると、CDショップの視聴コーナーで
ジャンルを問わず音楽を聴く、音楽を聴くために少しでも長く人間界にいようとする。
会話の言い回しや言葉の意味が理解できず、妙な返答や質問をしてしまう。
などの死神の設定がおもしろい。

この本も映画http://www.shinigaminoseido.jp/になり、3月22日から公開されている。
主演は金城武。



アルテミス・ファウル北極の事件簿 (角川文庫 コ 17-2)

アルテミス・ファウル 北極の事件簿
オーエン・コルファー 著

ファウルシリーズの2作目。
地下にある妖精の世界に異変が起きていた。
ゴブリン達が大量の武器を集め、その燃料が乾電池である事から、
妖精達は、ファウルが関わっているのではないかと考え、
ファウルを妖精界に連れてきて、事情聴取を行った。
しかし、ファウルが関わっていない事が分かると、
ゴブリン達に乾電池を渡している人間を探す事を依頼する。
見返りとして、ファウルはロシアンマフィアに囚われている父親の救出を手伝う事を要求した。

今回のファウルは、策略を練るために頭を使うだけでなく、体を張った活躍をみせる。

この作品も映画化されるようだ。



ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ 著

オードリー・ヘップバーンが主演で映画化されたことでも有名な作品。
村上春樹による新訳。

今まで小説も読んだ事がなければ、映画も見たことがなかったので、
新訳と言われても比較する事が出来ない。
が、こういう古典となりつつある作品が新しい訳で発表されるのは良い事だと思う。

表題の「ティファニーで朝食を」の他に
「花盛りの家」
「ダイアモンドのギター」
「クリスマスの思い出」
の3編の短編が収録されている。

今月読んだ本 [本]


ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫 F シ 5-2)

ずっとお城で暮らしてる
シャーリイ・ジャクスン 著

家族が死んでしまったお城のように大きな家に住んでいる姉妹の話。
6年前、父・母・息子・義理のおばが同じ食卓を囲んでいて、
毒物により死亡した。
同席していなかった妹と、食事を作った姉が、
同席していたが、助かったおじ(但し障害が残った)の世話をしながら、暮らしている。
姉は、6年前の事件がきっかけで、他人と係れなくなり、外で出ないようになった。
妹が、代わりに村へ買い物に行ったり、図書館へ行ったりしている。
が、村の人々から良く思われていないので、村へ行くのは苦行である。

そんな風に暮らしていた姉妹のところへ、
いとこが押しかけてくる。
姉はこのいとこに感化され、変わらなくちゃと思いはじめるが、
妹は、いとこの存在が疎ましい。
あの手、この手で、追い出そうと試みる。

読み終わった後に、奇妙な感覚が残る。
ある時期に少女が持つ残酷性をうまく書き出していると言う感じなのだろう。


瑠璃の契り―旗師・冬狐堂 (文春文庫 き 21-5)

瑠璃の契り-旗師・冬狐堂
北森 鴻 著

倣雛心中(ならいびなしんじゅう)
苦い狐
瑠璃の契り
黒髪のクピド
の4編からなる冬狐堂こと宇佐美陶子の短編集。
4編に共通する事は、どの作品にも作者の想いが強く秘められていて、
陶子が自分の身を削りながら核心に近づいていくという事。

 倣雛心中
和人形を得意としない陶子のところに、
同業者が売った後なぜか返品されてくるという訳ありの和人形を持ち込む。
人形の事を調べていくうちに、陶子は人形に秘められた作者の意図を見つけ出す。
そして、その人形は高値をつけることとなる。

 苦い狐
美大時代の同級生の画集の復刻版が陶子の元に送られてきた。
今頃、誰が、なぜ復刻版を作って送ってきたのか?
陶子は、いろいろ調べ、画集の中の一枚の絵だけが複製ではないかと思い始める。
そこには、復刻版を作った人間の独占欲と愛情が隠されていた。

 瑠璃の契り
陶子は角打ち屋で姿の良い切り子碗を手に入れた。
カメラマンの硝子が、その切り子碗をしばらく預かった後、売ってほしいと頼んできた。
その後、商売に行った先で陶子は同じ切り子碗を見つけ、
作者の名前と三つ揃いであることを知った。
そして、切り子碗に込められたメッセージに気が付く。

 黒髪のクピド
「プロフェッサーDを探して欲しい」と女性が陶子の元を訪れた。
1ヶ月前、陶子はプロフェッサーDの依頼で人形を競り落とした。
その人形に何かあると考えた陶子は、博多に行き、
プロフェッサーDの軌跡を辿る。
が、そこにはプロフェッサーDとは関係ない思惑があり、
陶子は、人形に隠された秘密を知る事になる。


今月読んだ本 [本]


ぶたぶたと秘密のアップルパイ (光文社文庫 や 24-5)

ぶたぶたと秘密のアップルパイ
矢崎在美 著

ぶたぶたシリーズ最新作
文庫書き下ろし

今回、ぶたぶたは喫茶店で働いている。
主に、お菓子を作っているので、
人前には出ない。
1号店・2号店でキリ番をとった人だけが、
行ける3号店で働いている。

ある日、キリ番をとった森泉風子は、
オーナーから3号店の会員になれることを
知らされる。
「そこで秘密を話してください」と言うのだ。

風子は3号店が気に入り、というよりぶたぶたが
気に入り、しょっちゅう通うようになる。

で、風子を軸に5本の話が繰り広げられる。

今回もとても暖かいお話ばかりだった。

ぶたぶたのアップルパイ
食べてみたいです。

ものすごーーーくおいしそうです。


セル 上巻 (1) (新潮文庫 キ 3-56)セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)

セル(上・下)
スティーブン・キング 著

クレイは仕事の為、自宅から遠く離れた場所にいた。
突然、周りの人間が凶暴になり、人を攻撃し始めた。
狂気にさらされた人々はすべて携帯電話を使用していた。

クレイは携帯電話を持っていないが、息子は持っている。
妻と息子の安否が気になるクレイは、街を出て北へ向かう事にする。
街で知り合ったトムとアリスと一緒に。

携帯人(携帯を使用していておかしくなった人々)は、初めやみくもに人を襲っていたが、
やがて群れるようになり、テレパシーによる交流のようなものを持つようになる。

クレイたちは一体どうなるのか。

最後まで読んでも、知りたい事がすべて解き明かされるわけではない。
その点で少々物足りなさを感じなくはないが、面白い事は間違いない。


時砂の王 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-7)

時砂(ときすな)の王
小川一水 著

26世紀、人類は絶滅の危機に瀕していた。
ETと呼ばれる戦闘機械の度重なる襲撃を受け、地球にはすでに住めないようになっていた。
そこで、人類は知的生命体を過去に送り、
その時代の人々を協力させ、ETとの戦いを有利に進め、勝利しようと考えた。
彼ら、知的生命体はメッセンジャーと呼ばれ、成長と生殖を除いた人の形を与えられた。
メッセンジャー・O オーヴィルもそんな知的生命体の1人である。

物語は、オーヴィルが卑弥呼を物の怪(ET)から助ける場面から始まる。
卑弥呼はオーヴィルと手を結び、ETを倒す為に果敢に戦いを続けるが、
鉱脈を見つけ進化をするETに一進一退を繰り返す。

メッセンジャーの通信役であり、すべての調査をこなし、
人類が繁栄する1つの時間軸(枝)を得る事を着実にこなそうとする人工知能 カティーサーク
任務に出る前に知り合った少女の為に物語を書くメッセンジャー
など、他の登場人物も魅力的である。

ページ数は多くないが、
読み応え充分です。


今月読んだ本 [本]


狐罠 (講談社文庫)

狐罠(きつねわな)
北森鴻 著

店を構えずに古美術の売買を行う人のことを「旗師」という。
主人公、「旗師」宇佐美陶子は、
橘という大きな店を構える人物に贋作を売りつけられる。
陶子は「目利き殺し」にあったのだ。

ある日、保険の調査員が尋ねてくる。
話をするうちに陶子は橘に趣旨返しの「目利き殺し」を仕掛けることを思い立つ。
その後、橘の店に勤める右腕と目される女性が殺され、
刑事たちが尋ねてくる。

話は、「目利き殺し」に必要な仕掛けと殺人事件が
絡み合い、緊迫感が増していく。

古美術と言えば、以前読んだ「7番目のユニコーン」という本が、
おもしろかったなぁ。


おまけのこ (新潮文庫 は 37-4)

「おまけのこ」
畠中恵 著


おなじみ長崎屋の若だんな一太郎が主人公のシリーズ。
次の5本のお話からなる短編集

「こわい」
狐者異(こわい)という妖が長崎屋に現れる。
飲めばたちまち一流の職人になれるという天狗の秘薬を持っているが、
己の望みをかなえてくれた者にその薬をやると言う。
かかわると本人だけならず周りの者には災いをもたらすからと、
2人の手代は若だんなやその場に居合わせて職人達に「かかわらないように。」と釘をさす。

しかし、若だんなは、そんな狐者異(こわい)が気になり、声をかけるが・・・

「畳紙(たとうがみ)」
於りんちゃんが屏風のぞきの印籠を長崎屋から持ってきてしまい、
それを預かっていたお雛さんのところに、印籠を取り返しに屏風のぞきが現れた。
夢だと思っているお雛さんは、屏風のぞぎに悩みを打ち明ける。

屏風のぞきが大活躍

「動く影」
幼い日の若だんなのお話。
大人たちが噂している飛縁魔という妖と、子供達が見たという妖、影女。
若だんなが妖怪退治に栄吉と近所の子供達と共に動き出す。

「ありんすこく」
若だんなが吉原の禿を足抜けさせる?
とうとう、若だんなにも恋が・・・
とはいかないのが、若だんな。
病療養させたくても、思うようにならない楼主の希望をかなえる為に
若だんながひと肌脱ぐ。

「おまけのこ」
鳴家の大冒険。
長崎屋の母屋で「お月様」を見つけた鳴家、
その「お月様」が盗まれそうになり、思わず犯人の手を噛んだ。
驚いて犯人が手を払った途端、鳴家は外へ飛ばされてしまった。
溺れそうになったり、からすに捕まったりしながらも、
鳴家は「お月様」を離さない。
若だんなは、長崎屋で一度に起こった暴行事件と窃盗事件に
鳴家もかかわっていると手代2人と探しに出かける。

テレビドラマの「しゃばけ」に出てきた鳴家、
ちょっと西洋風だったけど、可愛かった。
次回、ドラマ化の際は、ぜひこの「おまけのこ」も
やってほしいな。


狐闇 (講談社文庫)

狐闇(きつねやみ)
北森鴻 著

宇佐美陶子が古美術商の鑑札を返却して、
旗師ではなくなっているところから話が始まる。
そういう事になった事の顛末を遡って進んでいく。

旗師は、市に入れないお客の代わりに
客が希望する商品を競り落とす事がある。
今回、青銅鏡の入手を依頼された陶子は、
何とか青銅鏡を2枚手に入れるが、
そのうちの1枚が会場で見せられたものとは違っていた。
その鏡を手に入れてから、陶子の運命が変わってしまった。

古墳の盗掘や征韓論などが出てきて、
陶子は翻弄されながらも核心に迫っていく。


今月読んだ本 [本]

盗まれた街 (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2)
盗まれた街
ジャック・フィニイ 著


映画「インベージョン」の原作として、書店に平積みしてあったので手にとる。
何度も映画化されたSFの古典と言われる作品。

地球外生物に町が人間がのっとられる話。
巨大な莢(さや)が眠ってしまった人間の容姿、記憶を写し取って、
その人間と入れ替わってしまう。
人間の姿となった莢は、仲間を増やす為、
家々の地下室やクローゼットに莢を置いていく。

マイケルは、その事実に気づき、何とか逃げ出そうとするが、見つかり、
入れ替わっても何も変わらないのだと諭され、監視下に置かれる。
しかし、入れ替わると感情が欠落する事に気づいたマイケルは抵抗し、
ともに監視下におかれていたベッキィと一緒に逃げ出す。
逃げているうちに、巨大な莢が生えている畑にたどり着く。

結果として、マイケルは莢を撃退し、日常に戻っていく。

他の入れ替わった人々は、そのままなのかなぁ。
入れ替わっていく過程を読むと、元には戻れなさそうなのだけど。。。

「インベージョン」は、主人公が女性(二コール・キッドマン)となっていて、
息子の為に戦うといったストーリーになっているようだ。


夏の日のぶたぶた
矢崎存美 著

くすんだ桜色の体にビーズの黒目、右側だけがそっくり返った耳を持つ
バレーボールくらいの大きさのぶたのぬいぐるみ
「山崎ぶたぶた」のシリーズ

今回の主人公は、中学2年生の菅野一郎。
夏休みのある日、母親が弟を連れて実家へ行ってしまった。
母がいないだけで、いつもと変わらない夏休みになるのだろうと、
ちょっと冷めたような感じ。

コンビニの手伝いで、町の幽霊屋敷と呼ばれる別荘へビールの配達に行くと、
出てきたのは、しゃべって動くぶたのぬいぐるみだった。

始めは、ひどく動揺した一郎だが、美味しいジャスミン茶と
ぶたぶたお手製のマンゴープリンをごちそうになり、
すっかり打ち解け、毎日遊びに行くようになる。

母が出ていてから数日して、幼なじみの久美から
「私もついて行くから、明日お母さんを迎えに行こう。」と誘われ、出かける事になる。
一郎は、ぶたぶたに事情を話し、ぶたぶたについてきてもらう事にする。



登場人物が少ないせいか、物語がちょっとあっさりしている感じが否めない。



最後の記憶
綾辻行人 著

若年性痴呆症で入院した母親、
最近の記憶や印象の薄い記憶からなくなっていき、ある日髪が真っ白になる事から、
「白髪痴呆  」とも言われるこの病気は、遺伝性が極めて高いと聞かされた主人公は、
大学の研究にも没頭できなくなり、発症の恐怖におびえている。

「あいつが、あいつがやってくる」 ときおり病床で母親が見せる恐怖におののく様子を見て、
母に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけなのかと思い、
そんな母に自分を重ねる主人公。

母の母も「ぼけてあっという間に亡くなった」という話を聞いた事を思い出し、
ますます遺伝による発症の恐怖に襲われた主人公は、
友人とともに母の生まれ故郷を訪ねる。

母の生まれ故郷で、主人公は、母が幼い頃経験した「凄まじい恐怖」と対峙する事となる。
とても奇妙な読了感が残った。


石の猿 上 (1) (文春文庫 テ 11-11)石の猿 下 (3) (文春文庫 テ 11-12)


石の猿 上・下
ジェフリー・ディーヴァー 著


リンカーン・ライムが活躍するシリーズ
今回、ライムが追い詰めるのは、国際指名手配されているゴーストと呼ばれる蛇頭。

密入国の手配を依頼した中国人達とゴーストが乗っている偽装した密入国船を見つけ、
上陸前に捕獲しようと巡視船を差し向け追い詰めるが、ライムたちの予想に反し、
ゴーストは、中国人たちを閉じ込め、船を爆破してしまう。
救命ボートで逃げようとする中国人達を殺害しようと、執拗に発砲を繰り返すゴースト。
が、何人かは生きて逃れる事が出来た。

ゴーストを取り逃がしたライムたちは物的証拠を集め、ゴーストの手がかりをつかもうとする。
一方で、ゴーストは逃げた中国人達を殺害する為、中国人たちの行方を探し始める。

そのうち、第2、第3の殺人がおき、ライムたちはその現場の証拠を集め、分析し、
ゴーストに肉薄する。

中国人達はゴーストに殺されずにすむのか、ゴーストはまんまと逃げおおせてしまうのか。
何度か、「あっ」を思わせる仕掛けがあり、スピード感もあり、引き込まれる。

ある1人の中国人がとてもいい味を出している。
この中国人にライムはウエイチー(囲碁)を習う。
ライムのお気に入りのゲームになる予感がする。



今月読んだ本 [本]


アルテミス・ファウル―妖精の身代金 (角川文庫 コ 17-1)

アルテミス・ファウル 妖精の身代金
オーエン コルファー 著

ファウル家は、代々悪党の家系である。
が、父親が死に母親が病気になり、衰退の一途である。
そんなファウル家を再興しようと残された12歳のアルテミスは、妖精の黄金に目をつける。

ここで面白いのが、妖精といっても弱々しい生き物ではなく、
人間よりはるかに高度な科学をもつ集団だという事。
もちろん魔法も使うが、原子力を動力とした機械や武器をも使いこなす。
自分達を「ピープル」と呼び、人間を「マッドピープル」と呼ぶ。

アルテミスは、そんな妖精を誘拐して、身代金として黄金を奪おうとするのである。
果たして、黄金は手に入るのか。

どうも、アルテミスが悪人に思えないのは、著者の意図だろうか・・・

この後、第2弾、3弾、4弾と物語は続いている。


つくもがみ貸します

つくもがみ貸します。
畠中恵著

「出雲屋」という小道具屋兼損料屋(そんりょうや)を商う、ともに早く両親を亡くした姉弟(お紅・清次)と付喪神(つくもがみ)となった道具達が紡ぐ物語。
損料屋(そんりょうや)とは聞きなれないけれども、今でいうレンタルショップ。
火事が多かった江戸では、装飾品や家具(掛け軸・人形)などを自分で物を揃えるより借りて済ませることが多かったらしい。

付喪神になった道具達は、「自分達を貸し出すとは何事か。」と腹を立てたりしながらも、貸された先で聞いた面白い話を戻って他の付喪神達にするのが楽しみでならない。

付喪神になるような道具は、高価な品が多く、「出雲屋」にとっては稼げる品なので、2人は付喪神たちが話し始めても気にしないようにしている。
が、会話は聞こえてくるもので、思わず付喪神達に問い掛けるような事をする。
しかし、そうなると付喪神達はたちまち黙ってしまう。

そんな「出雲屋」に、お紅が気にしている「蘇芳」という香炉とそれに係る人の噂が入ってくる。
お紅と清次は付喪神を貸し出し、情報を集め始め・・・

「しゃばけ」とは違ったお江戸の話だけれども、ほんかわした雰囲気はかわらない。

シリーズ化するのかな。。。。


秋のカフェ・ラテ事件 [コクと深みの名推理3] (ランダムハウス講談社 コ 2-3 コクと深みの名推理 3)

秋のカフェ・ラテ事件 [コクと深みの名推理3]
クレオ コイル 著

クレア・コージーシリーズの第3弾

ファッションデザイナーのパーティー会場として使用されていたビレッジブレンドで、
ハウス自慢のカフェ・ラテを飲んで人が死んでしまう。
カフェ・ラテにシアン化合物が入られていたのだ。
ラテを作り、運んでいった従業員が容疑者として逮捕されてしまう。

そのカフェ・ラテは、パーティーを主催したファッションデザイナーの為に作られたものだったが、
死んだ人物がそのラテを横取りして、飲んでしまったのだ。
従業員の無実を信じ、やってきた刑事達に任せておけないと感じたクレアは、
またもやマテオやマテオの母を巻き込み、
事件の真相を探り始める。
クレアが怪しいと感じていた共同経営者の1人が、
やはりハウスのカフェ・ラテを飲んで死んでしまった。

クレアは、デザイナーの過去を調べ始め、ある事に気が付く。
この時にクレアが見つけ出した事実が、事件の核心になってくる。

ファッションウィーク中のパークの中に設置されたファッションショー会場で、
デザイナーが襲われ、すべてが明らかになる。

軽いタッチですすんでいくストーリーは、前作と変わりなく、
娘の事は次回に持ち越し?という感があるが、楽しく読める。

今回の表紙もかわいいですね。


今月読んだ本 [本]


そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)

そして二人だけになった-Until Death Do Us Part
森 博嗣 著

盲目の天才科学者の兄になりすましている弟と
その彼のアシスタントをしていた姉になりすました妹が、殺人事件に巻き込まれる。
場所は、海峡大橋の橋脚部に密かに作られた「バルブ」と呼ばれる施設。
核シェルター的な役割を持たせる為に、
施設全体が海水に囲まれ密室となるように設計されている。
そこに、彼らを始め設計に携わった科学者、建築家など6人が「バルブ」で
しばらく生活してみるという話で集められた。
が、プログラムの異常により、海水に囲まれ、内部からの脱出が不可能となってしまう。
そして、次々と4人が殺され、天才科学者とアシスタントの2人が残された。

その後、2人は「バルブ」を脱出するのだけれど、その辺りから話がわかりづらくなっていく。

読み終えても、「あれはどういう事だったの?」「これはこういう事だったの?」
「それはそういう質問じゃないでしょ。」と思うところが多く、うーーんって感じ。


狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた
上橋 菜穂子 著

「精霊の守り人」が有名。アニメになったり、コミックになったりしている。
その作者の野間児童文芸賞受賞作品。
でも、大人が読んでも充分堪能できる。

使い魔にされた霊狐と人の心が聞こえる少女の物語。
霊狐と少女の人想う真っ直ぐな気持ちに心が打たれる。
ラストを「あっ」という驚きで読むか、安堵の思いで読むかは、
人によって分かれるところかな。                                                                    

どんどん橋、落ちた

どんどん橋、落ちた
綾辻 行人 著

「どんどん橋、落ちた」
「ぼうぼう森、燃えた」
「フェラーリは見ていた」
「伊園家の崩壊」
「意外な犯人」

の5編からなる短編集。

「伊園家の崩壊」以外は、どの話も”U”という人物がミステリー作家”綾辻行人”を訪ねてきて、
「問題編」の物語を提示し、”綾辻行人”に犯人を推理させて、「解答編」で犯人が明かされる。
という形を取っている。

「伊園家の崩壊」は、あの有名な一家をモチーフに事件が起こる。


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